数字で見るバレーボール ローテーション編
今回は試合で勝敗に関わる、数字を紹介します。ローテーション毎に見ていきます。
その前にローテーションはチームによって違いますので統一して分析するために、セッターの位置で見ていきます。サーブ順のポジションで1から6まで数字をふり、セッターがどの位置にいるかです。図で解説します。
例えば上の図でセッターは1番の選手です。”S1”と表記します。
ポジションごとの数字を小さく書きました。
上の図は先ほどのものから1つローテーションしたものです。セッターが6番にいるので”S6”です。
また1つローテーションしたものです。どう表記するかわかりますか?
セッターが5番にいるので...”S5”です。
このように数字がS1→6→5→4→3→2→1と減っていきまた1に戻る流れです。
スタートはチームによってバラバラだと思いますのでS3スタートやS2スタートがあります。
それでは、以下に勝敗に関わる数字を紹介します。
1・指標
SO(サイドアウト)
耳にしたことがある人もいらっしゃると思います。これは、サーブ権が相手チームにあるときに得点を取ってサーブ権を取り返すことです。
SO本数 ÷ サーブを受けた本数
SO率100%なら負けることはないです。
FSO(ファーストサイドアウト)
SO(サイドアウト)のなかでもサーブレシーブからの攻撃を決めた本数です。言い換えれば1発で決めた本数です。(ラリーになっていない)
FSO ÷ サーブを受けた本数
B(ブレイク)
自チームにサーブ権があるときに得点を取ることです。
B(ブレイク)本数 ÷ サーブを打った本数
B(ブレイク)率が0%なら勝つことができません。
2.活用法
具体的な目指す数字はカテゴリーによって違います。男子のトップレベルはSO率が80%近くあります。ラリーが続く、小中学生や女子はFSO(ファーストサイドアウト)率が低いのでSO(サイドアウト)率も下がってしまいます。この数字を見れば、どのローテーションが強い弱いか分かります。敵チームの分析にも使えます。弱いところは必ず出てしまいます。その時にいかに早くローテーションできるかが勝敗を分けます。練習ではそのローテーションに時間をかけることが大事です。
B(ブレイク)がないと勝てません。まずはサーブが重要になってきます。サーブで崩して、切り返して攻撃する。この流れがいかにできているかが分かります。相手の攻撃を凌いで、点を取る練習も必要です。
練習試合、公式戦でなんとなく勝った、負けたで終わらないようにしましょう。振り返って、自分たちの強み、弱点を見極めてください。それの裏付けが数字です。
3.さいごに
今回はローテーションがある6人制に限った話になりました。なぜその練習をするのかの重要性を説明するときに数字は有効ですので活用してください。弱いローテーションを知っていると、試合中のタイムも取りやすくなります。流れを読んで取るのは難しいので、弱いローテーションでSO(サイドアウト)がとれなかったらタイムを取ると決めておくと、取りやすいですよね。
また、今回は自チームの分析に活用しましたが、相手チームでも同様なことが言えます。そこを追求しているのがデータバレーでアナリストの方々たちです。
数字で見るバレーボール サーブレシーブ編
今回はサーブレシーブを数字で見たいと思います。返球率、Aパス、Bパス等の言葉を使いますが基準から説明します。ちなみに、サーブレシーブをレセプションと表すこともあります。
1.指標
Aパス
セッターが一歩でトスをあげられる範囲に返球
Bパス
セッターが2歩以上、フロントゾーン内、クイックをあげることができる範囲に返球
Cパス
クイックが入ることができず、2段トスでの攻撃しかできないパス
Dパス
スパイクまで繋がらなかったパス
ダイレクト返球も含む
サービスエース
直接フロアに落ちる
返球できない
このように5段階で評価します。Aパス、Bパスの評価の境目は判断に難しいので、迷ったらBパスで評価で大丈夫です。
エリアの目安ですが赤がAパス、オレンジがBパスです。
ゾーンに返球できても、低くてセッターがアンダーになってしまったときは、クイックに上げられませんのでCパスです。
2.活用法
まずは、どれだけ返球できたかです。Aパス率、Bパス率を見てください。それぞれを総本数で割ってください。
AパスorBパス ÷ 総本数
より高い数字を目指すので分かりやすいですね。100%を目指しますが難しいので、Aパス、Bパス合わせて80%を目指しましょう。個人毎やローテーション毎、サーブの種類毎などに分けるとより、分かりやすいです。
2つ目はDパス、SP(サービスエース)率です。直接失点や攻撃できずに相手に返してしまう状況です。これは0%を目指しましょう。相手の強いサーブもCパスにすることが大事です。Aパスを狙ってネットを超えたら、DパスですからCパスでも充分です。
見方を変えれば、2段トスの質が高ければ、Dパスの本数は下がります。どこからでも打てるとこまで、2本目で修正できたらCパスになりますので。
ABパスは目標80%
Dパス、SPは目標0%→Cパスにする
3.さいごに
数字、データを扱うときは状況別に見ることが重要です。どの状況が得意で不得意かをはっきりさせると練習の目的もはっきりしやすいです。リアルタイムではしっかり判断できなかった時はビデオを撮って見返せるようにするのもいい手段です。試合中ではAパスにこだわる必要はないです。相手の良いサーブで失点しないことも重要です。
数字で見るバレーボール スパイク編
今回はバレーボールにおけるデータなどについてです。私自身も大学の時はデータ活用をしていましたので、活用して頂けたらと思います。最近ではアナリストもバレーボールでは重要な役割と知られてきています。相手チームを分析するだけがアナリストの仕事ではなく、自チームの成績を数字で示すのも仕事です。数字は事実ですので、選手や生徒も納得しやすいです。今回はスパイクに関する数字を紹介します。
体育の授業でも、どうしても体育館が使えなく座学のときなどに活用してみてください。
1.指標
決定率
スパイクを打って決まる確率です。
決定率=決定本数 ÷ 打数
効果率
決定本数からミス、被ブロック本数を引いた数字
効果率=(決定本数ーミスー被ブロ) ÷ 打数
ミスや被ブロックが多い選手は数字がマイナスになり、点を取ることよりも相手にあげる方が多いということです。決定率と効果率の差が少ない選手がミスが少ない選手であると分かります。
2.活用法
計算自体は正の字で簡単に取ることはできると思います。数字は活用することが必要です。状況別にデータを取ることが重要です。サーブレシーブ時(レセプション)の攻撃なのか相手の攻撃後(トランジション)なのかで得意不得意がわかります。ほかにもセッターに返球されたときなのか、パスが乱れた状況なのか、レフトから打つ時ライトから打つ時等ローテーション毎等状況別に見ると、分かりやすいです。大切なのは状況別に数字を出すことです。
・レセプション時
・トランジション時
・ローテーション毎
・レフト、センター、ライト
・セッター返球時
・パスが乱れたとき(2段トス)
まずはこのあたりです。もっと細分化すればいくらでもありますが、分けすぎると母数が小さくなって確率の信ぴょう性がさがります。
練習試合等でセットを重ねて数字を出すと練習に活かしやすいですよね。なんとなくよくなかった部分が明確になります。
3.さいごに
今回はスパイク編でしたが他のプレーでも数字で分析することができます。また紹介したいと思います。技術指導はなかなかできない人も数字を取って、選手や生徒に見せるだけで理解してくれます。数字が上がればモチベーションアップにもつながりますので活用してください。
セッター指導の見るポイント
バレーボールでのセッターの重要性はかなり高いです。毎回ボールをさわりますから。レシーブの乱れを修正してアタッカーまで繋ぎますのでセッターが良いチームはレシーブやスパイクが多少劣っていても簡単には負けません。
体育の授業ではセッターが難しいためスパイクまでなかなかつながりません。上手な生徒がセッターをすると盛り上がりますよ。
1.ハンドリング
セッターによっては、はじいてあげる人、持ち気味にあげる人(特に女子、力がないため)がいますが、スパイクの打ちやすさの観点からみて、ボールの方向を変えるイメージで上げるのがいいです。手に触れてから手を離れるまでを早くしてください。間があるとアタッカーは助走をしにくいですし、相手ブロッカーはゆっくり準備できます。セッターにしたい選手は基本のパスから意識させるようにしてください。感覚の部分が大きいので指導しにくいので対話が必須です。
2.足の使い方
トスは手だけでは上がりません。遠くにも飛びません。まずは落下点に正確に入ることです。体の中心、額の前で取れているかみてください。正面から来るボールではできても、セッターは横から来るので難しいです。次は片脚を前に出してあげるようにしてください。足が揃うと安定しないため。右足前が理想です。膝は軽く曲げ、体重移動でボールを飛ばします。腕より足の方が力があるため。ロングパスなど目一杯飛ばそうとすると自然と全身を使うのでお勧めです。目的は下半身を使って飛ばすことですので、ハンドリングは気にしなくていいです。長い距離と高さにこだわってください。
・落下点に素早く入る
・片脚を、前に出す
3.トスを上げた後のフォーム
トスを上げた後、どんなフォームになっていますか?手の形、体の向きはどうですか?手はしっかり上げた方向にのこっていますか?指先も。体もネットに平行ですか。相手コートに回っていませんか?これらのようにトスを上げた後のフォームを見れば、フォームが分かりやすいです。フォームが乱れていても、練習をすればある程度はあげられるようになります。しかし、試合ではレシーブの乱れを確実に修正することができません。毎回少しずれてしまします。なんとなく上手くなってしまいますので、それを防ぎましょう。練習ではボールに目が行きがちですが、ボールよりもフォームを見て上げてください。いいトスはアタッカーが判断してくれますし。
・手、指が上げた方に向いて、残っている。
・身体がネットに平行
4.さいごに
セッター上達は時間がかかります。成果も見えにくいせいもあります。チームの安定には必要不可欠ですので我慢していきましょう。フォームが安定するとトスも安定しますので、ボールばかり見ないようにしてください。フォームは人それぞれ指導が難しいと思う人は、ボールを取っている位置、体の向き、上げた後の手、指を見てください。
これは共通で必要です。
・ボールを取る位置(体の中心、額の前)
・体の向き(つま先、へそがレフトに向いている〇
体を回しながら上げる×)
・上げた後の手の向き(手を残す)
まずは、ここを意識させてみてください。レフト側から動画を撮って、見せてみるのもいいと思います。選手や生徒が分かりやすいです。
授業ではセッターやりたい子は少ないと思いますので、順番を決めて全員が経験するのは大切です。後半でゲームの時は役割を決めて行えばいいです。初めからネット際にいて2球目は絶対に触ると約束事決めておくと、分かりやすいです。
私自身もセッターでした、意識をして基礎練習の反復が1番上手くなることを実感しました。特にバックトスです。見えないところにあげるので、感覚がすべてです。初めは上手にできないですが、時間をかけてあげてください。
練習メニューの設定について
いつもの練習メニューはどのように決めていますか?何かのタイミングでメニューを終えていくつかの練習をしていると思います。ずっと練習をしていると当たり前になってきていることが多いと思いますので今回はそのタイミングについて紹介します。練習を見直すきっかけになればと思います。
1・時間設定型
これは時間でメニューを区切ることです。練習時間が決まっているチーム等は1日の練習を計画しやすいメリットがあります。授業でも時間は決まっているので、こちらの方が計画しやすいです。デメリットとして、本数が全く関係しないことです。極端な話何もしなくてもメニューを終えてしまいます。上達するための本数に達しにくく、本人の意欲が必要になります。
<メリット>
・計画しやすい
<デメリット>
・本数を確保できない
・失敗だけでも終えることができる。
2.本数設定型
これは本数を設定してする練習です。確実に本数を確保できることがメリットです。人数や場所によっては、1度にできる人数が限られ、練習が進まないことがデメリットです。
<メリット>
・本数を確保できる
<デメリット>
・練習の進行が予測できない
・退屈になることがある
3.課題達成型
先に紹介した本数設定と似ていますが、違いはクリアする基準を設けることです。
例えば、サーブを10本連続入れる、狙った場所に連続で打つ等です。目的が分かりやすく、スキルが向上しやすいメリットがあります。デメリットとしては、終わる速度が人によって大きく異なる。ノルマをクリアできないままの時にどうするか。そのまま続けるのか、全体練習ですので区切りをつけて終わるのか。終わらないときに、フォームや質を下げてノルマをクリアすることだけに集中してしまうことがある。
<メリット>
・練習の目的が分かりやすい
・スキルの向上が高い
<デメリット>
・練習の終わりが予測できない
・達成するスピードは人によって違う
・達成できないときにどするか。
・達成基準ばかりに意識がいき、質が落ちることがある。
4.活用法
3つを上手に組み合わせて練習する必要があります。長い練習時間が確保できない、授業や平日の部活動は時間を設定した方が良いと思います。時間が確保できて、特化した練習がしたいのであれば、課題達成型が良いと思います。
あとは、設定する時間や本数です。指導者としてはここの設定が大きな役割になります。最初の設定はなんとなくになるかもしれませんが、練習中にでも多すぎ、少なすぎたときは変更することも必要です。スキルが向上するにつれて、本数を増やす必要もあります。また、本数が多すぎると集中が持たないなど、どれくらいの時間集中してできるかも重要です。
5.さいごに
今回の記事で練習の設定の仕方を色々工夫してもらえたらと思います。技術指導も大切ですが、設定にこだわることも必要です。実際にやるのは選手や生徒たちですから。
観察と対話で良い練習を作りだしてください。
具体例をあまり出していないので、コメント等で質問して頂けたら、回答したいとおもいます。
ブロックの役割
今回はブロックについてです。練習法ではなく役割について解説します。バレーボールにおけるディフェンスの要になるのがブロックになりますので、チームの平均身長が低くても大丈夫です。
ブロックには大きく4つの役割があります。
・キルブロック
・ワンタッチ
・コースの制限
・プレッシャー
1.ブロックの役割
1.キルブロック
これは相手のスパイクを止めて得点を取ることです。ブロックと言えばのイメージが1番強い役割です。しかし、日本トップレベルVリーグのブロック賞の選手も1セットに1本止める程度です。試合の流れを変える大きなプレーですが、1セットにおける本数は少ないです。
2.ワンタッチ
これは相手スパイクに手が当たることで、勢いを弱めてレシーブしやすくする役割です。強いスパイクでもレシーブしやすくなり、攻撃に切り返しやすくなります。
3.コースの制限
相手スパイカーはブロックを避けて打とうとします。避けたコースにレシーバーがいるとレシーブ(ディグ)をしやすくなります。ブロッカーはボールに触れていませんが、レシーバーが上げやすい環境を作るのも重要な役割です。
4.プレッシャー
コースの制限と似ている部分もありますが、相手スパイカーはブロックを避けようとして、アウトやネットにかけてしまうことがあります。これも重要な役割です。
2.練習の考え方
以上で述べたように、ブロックではキルブロックよりもレシーブしやすい環境を整えることの方が大きな役割を担います。身長が低くても跳ぶ場所とタイミングさえ合えば十分です。練習の時はブロックだけの練習にせずに、レシーバーや指導者が後ろから、守りやすいように指示を出してあげてください。例)「もっと右(左)」、「もっとコースを開けて(閉めて)」等
手の出し方や、具体的な練習方法は動画サイト等を参考にして色々試してください。
指導者としてキルブロックだけがブロックではないと理解して、選手や生徒に伝えてほしいと思います。キルブロックを求めすぎると、タッチネットやレシーバーの邪魔にもなりますので、注意が必要です。
ブロック練習では特にセッターは手袋をして練習することをお勧めします。突き指や骨折の予防になります。
3.さいごに
ブロックは流れを変える大きなプレーであるとともに、ディフェンスの安定につながるプレーです。是非、役割を認識して練習してみてください。
授業ではなかなか取り扱うことは難しいと思いますが、男子は跳ぼうとします。スパイクのブロックがケガをするリスクが高いプレーになります。特に捻挫、突き指がありますので、先に”ネット際は無理していかない”、”ブロックは腕を振らない”等の声かけをするようにしてください。
実際の練習、授業で困っていること等あればコメントで教えてください。
対人レシーブについて
毎回の練習で必ずしているであろう、対人での重要なことを紹介します。対人の向上はバレーボールにおける全ての技能に繋がります。ただのアップではなくこだわって取り組むようにしましょう。
1.練習方法
二人組になって片方が打ち、片方がレシーブです。向きはネットからエンドラインに向かってするようにしましょう。試合でも相手のスパイクはネット側から来るのでそうします。
2.ポイント解説
初心者
まずは続けることを目的にしましょう。二人で協力してボールを落とさないようにしましょう。打つ側は相手の正面を狙って打つ。レシーブ側はボールをコントロールして相手に返却するように。続けることが目的なので落とさずに10回打つなどの練習設定をするのがいいです。
中級者
ある程度連続で続けるだけなら簡単になれば目的を変えましょう。レシーブしたボールを続けて打つようにしましょう。打つ側はレシーブのずれたボールに素早く落下点に入り、常に同じフォームで打てるようにしましょう。レシーブ側は打ちやすいように高さを意識したレシーブをしましょう。
上級者
さらにレベルが高い人は、打つ側が強い球を打ったり、左右前後に狙って打ったりしましょう。打つ人がレシーバーを上手にするために打ちましょう。苦手なところに打ったりしましょう。レシーバーはどんなボールでも上げにいってください。打ちミスや届かないボール等は関係なく全休に対応するようにしましょう。
3.指導の方法
対人のペアは固定にすると二人で上手くなろうとしたり、片一方が成果を出せばペアの子も褒めることができるのでお勧めです。ダメな時は2人に指導する必要があります。目的はレベルに応じて変えることができるので、練習前に目的をはっきりとする必要があります。指導者としては、目標設定の見極めが重要です。
4.さいごに
どのレベルも共通して、ボールを落とさない、二人で協力することが必要です。特にレシーブを失敗したい人はいないので、少しでもあがったら繋ぐようにしましょう。一番大切なことです。
毎回、練習ではするでしょうしなんとなくできるようになってきたときにレベルの高いことを求めて、飽きることがないようにしていきましょう。